持続可能な社会実現に向けて、金融面での支援が重要になっています。
社会課題解決に繋がるサステナブルファイナンスの概要や東京都の取組についてご紹介いたします。
目次
サステナブルファイナンスとは
サステナブルファイナンスは、環境問題や社会問題を解決し、持続可能な社会を実現するための投資や融資などの金融面での支援です。
サステナブルファイナンスが注目されている背景には、気候変動や格差、人口減少などの社会的課題への対応が急務となる中で、社会的課題の解決に資する資金やアドバイスを提供する役割の重要性が高まっていることがあります。
2030年までに国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するには、現在の投資の流れを倍にし、毎年 5 兆~ 7 兆 US ドルの資金が必要と言われており、 持続可能な社会の実現のためにサステナブルファイナンスは重要な役割を期待されています。
サステナブルファイナンスを実行するにあたっては、ESGに関する効果や透明性について、外部のESG評価機関が評価・モニタリングすることが一般的です。
<サステナブルファイナンスのスキームイメージ>
サステナブルファイナンスは、対象事業がグリーン関連事業かその他の社会課題解決につながるソーシャル分野かどうか、また資金使途が特定されているかどうかによって大きく下記のように分類されます。
会社の状況に応じた、資金調達方法が選択されています。
<サステナブルファイナンスの分類イメージ>
【各ファイナンスの主要な外府ガイドライン】
各ファイナンスについては、国内向けのガイドラインを開示されており、環境整備が進んでいます。
※グリーンローン・グリーンボンドのガイドライン
サステナビリティローン・サステビリティボンドのガイドライン
https://greenfinanceportal.env.go.jp/loan/guideline/guideline.html
※ソーシャルボンドのガイドライン
https://www.fsa.go.jp/news/r3/singi/20211026-2.html
※トランジションボンドの概要・ガイドライン
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/transition_finance.html
東京都のサステナブルファイナンスの取組み
東京都ではサステナブルファイナンス分野では、資金調達分野での支援や、エクイティ関連のグリーンボンド等への補助金や金融機関と連携したサステナビリティ経営促進事業など幅広い施策を展開しています。
(1)ボンド関連:ESG債発行促進支援事業
東京都は、グリーンボンド等の発行促進を支援するため、発行時の負担軽減策の一環として、発行支援を行う事業に要する経費等に補助金を交付しています。
【スキームイメージ】
※詳細はこちらをご参照
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/pgs/gfct/green-finance/green-subsidy.html
(2)ローン関連:金融機関と連携したサステナビリティ経営促進事業
東京都は、「金融機関と連携したサステナビリティ経営促進事業」を実施しており、サステナビリティ・リンク・ローン及びポジティブ・インパクト・ファイナンスの融資を受ける中堅・中小企業が、経営目標の設定やその達成度の検証などに必要となる費用の一部を支援する補助事業を実施しています。
【連携協定金融機関 2023年9月末日時点】
・きらぼし銀行 ・みずほ銀行 ・群馬銀行 ・第四北越銀行 ・日本生命保険相互会社 ・千葉銀行 ・東和銀行 ・八十二銀行 ・武蔵野銀行 ・明治安田生命保険相互会社 ・常陽銀行 ・三菱UFJ銀行 ・三井住友銀行 ・山梨中央銀行 ・静岡銀行 ・日本政策投資銀行 ・東日本銀行 ・横浜銀行 ※連携協定締結日順、連携金融機関のHPに遷移いたします。 |
【本事業での東京都が支援した企業事例】
〇大栄不動産株式会社(連携金融機関:みずほ銀行)
大栄不動産株式会社は首都圏を中心に、ビル賃貸事業、駐車場事業、住宅事業などを展開する総合不動産会社です。
2022年8月にサステナビリティ・リンク・ローンを実行しました。
(本件についての会社インタビューはこちら)
〇三菱地所・サイモン株式会社(連携金融機関:みずほ銀行)
三菱地所・サイモン株式会社は日本国内におけるプレミアム・アウトレットの開発・所有・運営する不動産会社です。
2022年10月にサステナビリティ・リンク・ローンを実行しました。
(本件についての会社インタビューはこちら)
※事業についての詳細はこちらをご参照
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/pgs/gfct/green-finance/sustainability-management.html
(3)エクイティ関連:官民ファンドを通じたESG関連事業の支援
東京都は再生可能エネルギー普及やヘルスケア分野での企業支援を目的に官民連携ファンドを組成し、投資家としてサステナブルファイナンス推進をしています。
官民ファンドは東京都が民間の事業者・投資家と連携し、ファンドを通して投資などの支援を進める枠組みです。
<官民投資ファンドスキームイメージ>
※東京都/スタートアップ・国際金融都市戦略室が所管する官民ファンドの事例は下記ご参照
・サステナブルエネルギーファンド
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/pgs/gfct/green-finance/sustainable-fund.html
・ソーシャルインパクト投資ファンド
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/pgs/gfct/nurturing-players/impact-fund.html
・創エネ・蓄エネ推進ファンド
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/pgs/gfct/green-finance/battery-fund.html
(4)リテラシー関連:金融リテラシー向上に向けた啓蒙活動
東京都では、サステナブルファイナンスに関する都民の認識向上に向けたイベント「東京・サステナブル・ファイナンス・ウィーク」を開催しました。
【主なセミナー概要】
(1)東京・サステナブル・ファイナンス・フォーラム
国内外の有識者による講演やサステナブルファイナンス分野で活躍するフィンテック企業による講演
(2)若者向け金融セミナー
家計管理や資産形成などについて、若手社会人や大学生向けのセミナー
(3)みんなの金融セミナー
サステナブルファイナンスをはじめ、投資や金融の基礎知識について学び、金融リテラシーを高めるセミナー
※セミナーについての概要はこちらをご参照
https://tsfw.tokyo/2023/
(5)東京都立大学との共同研究
東京都は、東京都立大学と共同でESG情報の開示等に係る研究やグリーンボンド事業がもたらす環境インパクトに係る研究を行いました。
・ESG情報開示基準と企業における活用