できることから始めてSDGsにつなげる
(株式会社トライサーブ)

株式会社トライサーブ 代表取締役 庄司文明 様
株式会社トライサーブ 代表取締役 庄司文明 様

システム開発を手がけ、SDGsへの取り組みも推進

金融業界を中心としたお客様に、システム開発やITインフラの構築などのサービスを提供しているトライサーブ。お客様のもとでのシステム開発や、お客様のシステムの保守運用の代行を担っているため、社員の多くは顧客企業のオフィスで業務を行っています。

「私たちの事業は、お客様のビジネスをITで支えるというもの。そのため、自社の事業内容をそのままSDGsへの取り組みにつなげていくことは、正直、難しいと言わざるを得ません。また、私たちの業界は働き方改革がやや遅れ気味の側面があるのも事実です」

自社の業界について、庄司文明社長はそう話します。そうした中で、トライサーブはどのようにSDGsへの取り組みを進めているのでしょうか。今回は、子ども食堂応援プロジェクトへの寄付や、社員が働きやすい環境を整える取り組みついてお話をうかがいました。

自分たちにできることを考え、子ども食堂応援プロジェクトに寄付

SDGsに興味を持ったきっかけについて、庄司社長は「お客様にSDGsのバッジをいただいたからです(笑)」と話します。それを機に「SDGsの達成につながることで、自社にできることは何か?」と幹部会議で話し合った結果、社長の出身地でもある埼玉県の企業版ふるさと納税を通じて、子ども食堂応援プロジェクトに寄付をするアイデアが生まれたそうです。2020年から継続しているこの活動は新聞でも報じられ、2022年も、埼玉県の大野元裕知事から表彰されました。

なお、子ども食堂応援プロジェクトに対する寄附は、SDGs17の目標における「1. 貧困をなくそう」「2. 飢餓をゼロに」「3. すべての人に健康と福祉を」につながります。加えて、「トライサーブにできること」を踏まえた新たな構想についてもお話しくださいました。

「今は子どもたちが学校でパソコンを使いますよね。パソコンの使い方がわからないと宿題ができないという話も聞いたこともあります。当社の社員はパソコンのエキスパートですから、子どもたちを対象としたパソコン指導であれば取り組みやすいと思いました。実際の活動はこれからですが、少しずつ準備を始めていきたい考えです。そして、いつの日か、当社が関わりを持った子どもたちの中から、ITに興味を持ち、IT業界の未来を担う人材が生まれてくれたらうれしいですね」

もし、この活動が現実のものとなれば、それは、SDGsでいうところの「4. 質の高い教育をみんなに」や「10. 人や国の不平等をなくそう」の達成にもつながるといえるでしょう。

大野元裕埼玉県知事(右)より、「子ども食堂応援プロジェクト」への寄付に対する感謝状を贈呈された庄司代表取締役
大野元裕埼玉県知事(右)より、「子ども食堂応援プロジェクト」への寄付に対する感謝状を贈呈された庄司代表取締役

「入社して良かった」と思ってもらえる会社へ

トライサーブの設立以来、庄司社長が最も大切にしてきたものは「人」。お客様はもちろんのこと、社員や外部委託するパートナー企業など、関わるすべての人に貢献できる会社でありたいと考えているそうです。

「良い人材に入社してもらうためには、トライサーブが良い会社でなくてはならない。そして、社員に『トライサーブに入社して良かった』と思ってもらいたい。そんなシンプルな考えから、働く環境の改善にもできることから取り組んできました」

システム開発の仕事は、働き方をお客様の都合に合わせないといけない場面もあります。しかし、庄司社長はお客様の協力も得ながら、働き方改革を推進。残業を削減するとともに、有給休暇を取得しやすい体制も整えています。

また、初任給の10%アップや、食費補助などの福利厚生の充実化によって、社員の待遇面も向上させています。その成果は、トライサーブの離職率が業界の水準を下回ることに表れているといっても過言ではないでしょう。また、産休・育休を取得して復帰する社員もおり、子育て世代にとっても働きやすい職場だと言えそうです。

「女性が少ない業界ですが、当社は女性の比率が15%まで上昇してきています。2021年の採用においては男女比が半々でした」と話す庄司社長。これからは女性の比率を20%まで上昇させることを目標にしています。

若手発想のイベントで社員交流の機会を創出

トライサーブでは、社員同士のつながりを大事にしたいとの思いから、社員総会や忘年会、社員旅行や不定期の懇親会(お客様先の職場で働いている社員が本社に帰社した際に数名での飲み会)などの行事を積極的に開催しています。また2ヵ月に1度は社員が楽しむためのイベントも企画しているそうです。

コロナ禍では、従来のような対面式のイベントは開催できませんでしたが、職業柄、コロナが流行する前からオンラインでのやりとりは日常的に行っていたこともあり、「オンライン富士登山ツアー」や「酒蔵のオンライン体験ツアー」などを通じて、社員たちは交流を深めてきたといいます。2022年の夏には、新型コロナウイルスの感染リスクを抑えながらも顔を会わせる機会を設けようと、希望する社員全員でクラシック音楽のコンサートを鑑賞しました(チケット代は会社が負担)。全社員の約7割が参加をしたとのことで「久々に同じ空間で楽しいひと時を共有できました」と庄司社長は笑顔で話してくださいました。

「イベントの企画は若手社員に委ねています。当社の社員は同じオフィスで働いているわけでないため、ともすると帰属意識や一体感が薄れてしまいかねません。当社が各種イベントや行事を大切にしているのは、トライサーブの仲間としての“一体感”を持って業務に臨んでほしいからです。イベントへの参加は強制ではありませんが、社員の参加率はとても高いので、“一体感”の醸成に役立っているのだと思っています」

コロナ禍では、感染リスクを抑えながら社員が一堂に会する機会を設けようとクラシック音楽のコンサートの鑑賞会を開催

できることから始めればいい

SDGsの達成に向けて、これから取り組みを始める企業に向けて、庄司社長からアドバイスをいただきました。

「他社が何をしているかより、自社には何が可能かを考えることが大切だと思います。すべての企業が営利組織である以上、利益を生む業務+αのところで社会貢献に取り組まなくてはなりません。そうすると、自ずとできることは限られてきます。当社も、自分たちにできることを始めてみたら、それが結果的にSDGsにつながり、良い循環が生まれたので、どの企業さんもまずは「できること」からスタートしてみればよいのではないでしょうか」

最後に、これからSDGsへの取り組みを始める企業に向けて『東京サステナブルNavi』へのリクエストをお聞きしました。

「こうした取り組みが、こういうSDGsにつながるという具体例を、それがささやかなものであっても数多く掲載していただけるとありがたいです。そうすれば、『うちの会社にはこれができそうだな』と思えるものが見つかるはずですし、SDGsの達成に向けた『はじめの1歩』を踏み出しやすいと思います

会社概要

社名:株式会社トライサーブ
所在地:東京都豊島区西池袋1-18-2 藤久ビル西1号館8階
設立:2000年
事業内容:ソフトウェア開発および業務アプリケーション作成、開発環境構築技術サービス
代表取締役:庄司 文明
従業員数:70名
ホームページ:https://www.tryserve.com