株式会社大和三光製作所様
(連携金融機関:きらぼし銀行)

東京都は、都内中堅・中小企業の経営をサステナビリティに配慮したものへと転換を促すため、連携金融機関が取り扱うサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)の実行にあたり、必要となる費用の一部を支援しています。

この度、本補助を活用し、サステナビリティ経営に取り組まれている「株式会社大和三光製作所」様に取材してきましたので、その様子をお伝えします!

東京都

貴社事業について教えてください。

大和三光製作所
大和代表取締役

弊社は1915年創業以来107年間、乾燥装置・熱処理装置一筋で今日に至っています。
設立当初は、繭の中の蛹を殺傷し繭層及び蛹を乾燥させ保存する、シルク産業向けの繭の乾燥機を開発しました。この「熱技術」をその後、産業界の「熱」「乾燥」を必要とする工程に提案し、今では食品業界・化学業界・電機業界・自動車業界など多くの産業界に納入いたしました。
また、1960年代頃になると公害問題が発生し、駿河湾の製紙ヘドロ処理として「乾燥装置」「焼却装置」など環境分野にも参入しました。現在はし尿処理、汚泥処理、産廃処理の分野にも進出しています。

大和三光製作所
大和代表取締役

さらに、世の中が「焼却」から「再利用」へと変化したことから、各種処理物の再生利用、再エネルギー化にも力を入れています。
今日では、産業界の生産工程に必要な乾燥装置・熱処理装置と、環境分野での乾燥装置・熱処理装置を、お客様と連携して、100%オーダーメイド方式の設計・製作・据付をしています。

下水道汚泥処理機械(シンガポール)
下水道汚泥・生活排水他処理装置(豊橋市)
東京都

貴社のSDGs、ESG、サステナビリティに関する取組を教えてください。

大和三光製作所
大和代表取締役

大きく分けて2つあります。
(1)まず、 弊社の製品は「熱処理装置」ですので、エネルギーを必要としています。熱源は石化製品に頼るところが多いなか、「SDGs」等の言葉がまだ使われていない時代から熱源の再利用化に取組んできました。それ以来、如何にエネルギーを有効に使用するか、常に研究・開発を進めてきました。そのうちのひとつが排熱利用です。焼却する装置の前に、乾燥装置を組込み、焼却後排出する排熱を乾燥装置の熱源として乾燥を行います。乾燥装置で乾燥し水分量が少なくなった加工物を焼却することは、乾燥する前の焼却物と比較し、焼却時の熱量が少なくて済みます。この熱の循環の乾燥焼却装置は、各自治体のし尿処理施設で活用され「省エネ」に貢献いたしました。

大和三光製作所
大和代表取締役

このシステムから、排熱・排蒸気の余力のある施設(工場)には、このシステムを使用し熱処理装置の熱源再利用を提案し「省エネ化」を推進してきました。これは現在の「SDGs」の先駆けだと考えています。
しかし、熱源の主体は石化品(重油・LPGガス)です。熱源を「水素」「アンモニューム」「電気」「バイオマス」にシフト出来ないかは今後の大きなテーマで、現在取組んでいる最中です。

大和三光製作所
大和代表取締役

(2) また、社内では、東日本大震災の被災によりインフラの重要性を学び、福島工場での使用電気、ガス、水道の効率化を推進してきました。
特に電気については電力量削減の観点から、まずは事務所でのLED電灯への変更、その後は工場内部まで全てLEDへ変更しました。それと共に一部太陽光発電も取入れてきました。

工場での作業の様子
東京都

上記の取組に関して苦労されたことや、取組をしてよかったことはありますか?

大和三光製作所
大和代表取締役

SDGsの必要性は皆理解しているのですが、実際に行動に移す時に、作業が増加するのではないか、費用が掛かるのではないか、効果が出るのか、などの疑心暗鬼になる者が社内にも多かったのですが、社長の強力なリーダーシップで推進を図ってきました。
そのおかげで良かったことは、賛同した社員が中心となり細かい点にまで気づきが及び、さらにはコスト削減にまでつながったことです。

東京都

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)をご調達されたと伺います。何か理由はありましたか?

大和三光製作所
大和代表取締役

本年、政府が発表した「GX現実に向けた基本方針」の中で、弊社が考えて行っている行為が正しいことなのか検証する為に、第三者の指導を仰ぐことで、見逃している部分の修正を図ることを目指しました。また、社内で「SDGs」の取組が明確になり、結果が出ると借入利息の金利が下がることは目標の数字化(見える化)として社内へのインパクトが大きく、良いことだと認識しています。

東京都

どのような目標を立てたましたか? また、その目標を立てた背景についても教えてください。

大和三光製作所
大和代表取締役

目標を数字化することに悩みましたが、2019年度を基準として毎年CO2排出量を目標に掲げました。背景として、本件のきっかけで福島工場に太陽光発電システムの増強を計画し、工場の電気量の年間20%削減も掲げました。

東京都

SLL調達をきっかけに始めてみたいことを教えてください。

大和三光製作所
大和代表取締役

きらぼし銀行様のご紹介で太陽光発電装置のお話があり、社内でも次のステップを何にするか悩んでいましたが、背中を押されたように太陽光発電システムの増強を決断することが出来ました。この太陽光発電増強計画は、年間CO2排出を40トン少なくする効果があることの説明も受け、政府の提唱する「GX化」にも参画出来るのではとの思いです。

東京都

サステナブル・ファイナンスについて何かご意見はありますか?

大和三光製作所
大和代表取締役

弊社が資金調達をするタイミングに、弊社内で検討していた「SDGs」を再度学ばせて頂き、少しでも貢献出来るかつ、社外にもアピールできると思料しました。とても良いファイナンスだと思っています。

東京都

今回、東京都の補助金を申請したきっかけや、良かったことを教えてください。

大和三光製作所
大和代表取締役

これまでは、SDGsを社長が社内発表をしても、社内での具体的行動がハッキリしていませんでした。しかし、工場事務所照明のLED化により電気料金が下がり、さらに工場内照明のLED化によりもっと下がり、目に見えるかたちで電気代が下がったことで、コスト削減と同時にCO2の削減にもつながっているという認識が社内に浸透してきました。

大和三光製作所 
大和代表取締役

また、太陽光パネル増設すれば年間40トンものCO2削減できることが理解できたこともよかったです。地域学校へのSDGs教育(ESD)で子供たちに工場見学をしてもらい、具体的に電気使用量を減らすと何トンのCO2を減らせることを視覚で感じてもらうことができました。
さらに、夏の冷房には電気を使うしかありませんが、工場内の冬の暖房には電気を使わず、ペレットストーブに代替えできないかという検討材料を与えてくれました。自社内で製作できないかどうかについても考えております。

東京都

SDGs、ESG、サステナビリティ経営に関して自治体や金融機関に期待することはありますか?

大和三光製作所
大和代表取締役

政府が提唱している「DX化」と合わせて、「SDGs」の取込を推進して行くことは、非常に良いことだと思っています。しかし、なかなか自社から行っていることは言い出しにくいテーマですので、今回のように自治体や金融機関が積極的に推進して頂くことは必要だと感じています。

大和三光製作所
大和代表取締役

また、SDGs、ESG、サステナビリティについては、各企業とも総論は賛成として検討はしていますが、いざ各論に迫ると躊躇する傾向にあります。
是非個々の部分で背中を押すように、ファイナンス支援・補助金支援の拡大を、行って頂ければ幸いと思います。
さらに、将来を担う子供たちが10年後20年後の世界を想像しながら学んでいくことが大切だという観点から、弊社社長は、町の協力もとで工場近隣の小中学校へ「SDGs」の啓蒙活動(ESD)を行っています。是非当地区でも子供達への啓蒙活動(ESD)の拡大に期待したいです。

東京都

これからSDGs、ESG、サステナビリティ経営に取り組む企業へのメッセージ等あれば教えてください。

大和三光製作所
大和代表取締役

大上段に構えず、個々のメンバーが可能な部分から「SDGs」「ESG」「ESD」「サステナビリティ」を手掛けていきながら、企業がリーダーシップをとり、まとめていくことも必要だと感じています。

東京都

お忙しいところ貴重なお話をありがとうございました。

会社概要

社名     :株式会社大和三光製作所
所在地    :東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル43階
設立     :1915年10月
事業内容   :工業用乾燥機の設計・製作・製造
        焼却装置の設計・製作・製造
        熱処理装置の設計・製作・製造
代表取締役  :大和 輝明
従業員数   :約100名
ホームページ :http://www.yamato-sanko.co.jp