「多様な人材」の力を最大限に活かす職場づくり
(ECH株式会社)

ECH株式会社 代表取締役社長 井関貴博様

社員の8割、部長職の5割が女性

ECH株式会社は、eコマース運用の代行業務で培ったノウハウを活かしてD2C(Direct to Consumer:自社サイトを通じた製品の直接販売)事業を営む企業で、自社ブランドのヘアケア商品や健康サプリメントやの開発・販売を手がけています。
中でも、2018年に発売した、1本で5役(シャンプー、コンディショナー、トリートメント、頭皮ケア、ヘアパック)のクリームシャンプー『KAMIKA』は、主に40代以上の女性の支持を受けてヒットし、急成長を遂げています。

同社の商品はターゲットが女性ということもあり、社員の8割が女性で、部長職も5割以上が女性です。この状況について、井関貴博社長は次のように話します。

「女性社員が多いことから、ごく自然な流れで、女性のライフステージに配慮した働き方が選択できる社風が醸成されたように思います。制度の整備も大切なことですが、それを遠慮なく取得できる雰囲気、ひいては、その制度が利用されている実績が大切ですよね。当社においては、産休・育休で言えば、約2割程度の社員が利用しています」

活躍する女性社員

能力の多様性を会社の強みに

同社は、社員一人ひとりの個性や能力を大事にしており、それが結果として多様な人材が集まる組織をつくり、企業としての『力』の底上げにつながっています。

「当社には『クリエイティブをひたすら追求している人』から『社内外を問わず人とのコミュニケーションに長けている人』まで、多様な人材が揃っています。言い方を変えると、コミュニケーションが不得手な人や、商品企画を苦手とする人もいます。

『ヒットさせれば勝ち、良いものを作っても売れなかったら負け』の世界であるD2Cの分野においては、ひとつでも『キラリ』と光る能力を持っていることが重要になります。組織ですからチームワークやマネジメントといったことも大切なのですが、各々が極めたいことに集中し、能力を存分に発揮できる環境づくりが大切であると考えています。端的に言えば、『クリエイティブの天才だけど営業トークは苦手』という人でも、あるいはその逆であっても、当社では同じ大切な人材だということです」と井関社長は言葉に力をこめます。

働きやすさと働きがいが会社の成長に

同社ではコロナ以前からリモートワークを推進。きっかけは、家族に介護の必要性が生じた社員からの相談だったそうです。「リモートワークの導入が、人材の確保と定着、あるいは生産性の向上につながるのであれば、リモートワーク導入に反対する理由はありませんでした」と井関社長。ただ、その一方で、リモートワークには工夫も必要だと話します。

「入社して間もない社員が組織横断的なプロジェクトに関わる場合、他部署の社員のパーソナリティが掴めず、コミュニケーションの取り方や仕事の進め方に苦労するケースが見られます。したがって、リモートワークありきで考えるのではなく、対面での仕事も大事にしながら、臨機応変にリモートワークを活用することが大切だと思います」

また、同社では、新卒社員向け研修や管理職向け研修の提供はもちろんのこと、スキルアップのための書籍代や資格取得の試験費用は会社で負担し、資格取得者には手当を支給しています。

「働きやすさや働きがいにつながるさまざまな取り組みが複合的に重なり合い、良い商品づくり、そして会社の成長に結び付いているのだと思います」と井関社長。

社会やお客様がSDGsを求めている

同社による顧客アンケートの結果を踏まえ、井関社長は「最近では、お客様から、環境に配慮した取り組みを求める声が数多く聞かれます」と話します。主力商品のクリームシャンプー『KAMIKA』は浴室に置かれるものであるため、プラスチック製容器を廃止することこそできないものの、同社では早急に詰め替えパックの販売を始めました。

「水やカビに耐性のある紙の研究開発が進んでいることは存じ上げています。プラスチック削減に向けた取り組みは、常に課題として念頭に置き、できることから取り組んでいきたい考えです。当社は、最初からSDGsを強く意識した経営を実践してきたわけではありません。社会が当社に求めるものは何か、そして社員にとって必要なものは何かを考え、実践してきた結果が今につながっているのだと思います」と井関社長は話します。

「企業とは、社会(お客様)に生かされているものであり、働いてくれる社員あっての組織です。つまり、社会に求められるものを提供できない企業は、生き残ることが難しいということです。お客様が当社に良い商品を期待し求めるのと同様に、社会が当社にSDGsを求めるのであれば、それに応えようとするのが企業の在り方だと思います。今、この時代において、仮に『環境のことなどどうでもいい』『多様性に価値はないと』とする企業があるとしたら、いずれ淘汰されていくはずです。ひとくちに『SDGs』と言っても幅は広いのですが、SDGsの達成に貢献する姿勢と行動は、これからの企業の成長に不可欠なものなのではないでしょうか」

環境に配慮した詰め替えパック

会社概要

社名     :ECH株式会社
所在地    :東京都目黒区青葉台3丁目6-28 青葉台タワー8F
設立     :2006年
事業内容   :自社商品の企画開発およびECサイト運営・販売
代表取締役社長:井関貴博
社員数    :70名
ホームページ :https://www.ec-h.co.jp